AIで見やすい資料を作る入力のコツ。目的・相手・要点を先に決める

AIで作った初稿を眺めて、間違ってはいないのに何も刺さらない、と感じたことはないでしょうか。文字は埋まっている。見出しも付いている。それでも、この初稿を会議に持っていけるかというと手が止まる。

そういうときに別のサービスを試したくなりますが、乗り換えても同じ結果になることが少なくありません。初稿がぼやける原因は、たいてい渡した一文の側にあります。この記事では、生成を実行する前に決めておきたいことを、読み手と要点の2つに絞って見ていきましょう。

初稿がぼやけるのは、渡した一文に読み手がいないからです

「営業資料を作って」のような頼み方で困るのは、内容が薄くなることではありません。読み手をAIが決めてしまうことです。決めた結果が自分の想定と一致する確率は、あまり高くありません。

行き先が書かれていない場合も似た結果になります。目的が分からないと、AIは無難な順番を選びます。会社紹介から始まって、機能の説明が続き、最後に料金が出てくる。どこも間違っていないのに、読み手が最初に知りたいことが最後まで出てこない資料になりがちです。

渡す最初の一文に何を書くかは、AIスライド作成の基本手順。メモから構成・デザインを整える流れで型として紹介しました。ここでは、その型のうち書き方で差が出る2つ、読み手と要点を掘ってみます。

読み手は、役職ではなく「何を知っていて、何を決める人か」で書きましょう

「情シス部長向け」だけでは、AIは肩書きから想像で埋めます。役職が同じでも、すでに導入が決まっている相手と、これから検討する相手では、載せるべき内容がまるで違うからです。

書くのは次の3つで足ります。

  • 相手がすでに知っていること。 相手の前提が分かっていれば、説明で枚数を使わずに済みます

  • 相手が気にしていること。 費用なのか、移行の手間なのか、社内の合意なのか

  • 読んだあとに何をしてほしいか。 承認、比較検討、次回の打ち合わせの設定など

3つを入れると、最初の一文はこうなります。「情シス部長向けに、勤怠システムの入れ替え計画を8枚で。入れ替え自体は決定済みで、気にしているのは移行期間の運用。読んだあとに移行スケジュールを承認してほしい」。長く見えますが、書く材料は資料を頼まれた時点で分かっていることばかりで、新しく調べるものはありません。

読み手が複数いるときは、いちばん決定に近い1人を選んで書いてください。全員に向けて書くと、結局は誰にも向いていない資料になってしまうことも。

要点が多いときは、1枚に載せる主張を1つ選びます

材料が多い資料ほど、全部入れたくなります。ただ、1枚に3つの主張を載せると、読み手はどれが本題なのか分からないまま次の1枚へ進んでしまうもの。

優先順位の付け方は単純です。まず要点を思いつく順に書き出して、そのうち1つに「これが伝わらなければ会議の意味がない」という印を付ける。印を付けた1つは、さきほどの一文に「いちばん伝えたいのは〜」として書き足します。 残りは材料の末尾に「補足」と添えて一緒に貼るか、口頭で話す分として手元に残す。この振り分けまでやっておくと、AIは主張と補足を混ぜずに並べてくれます。

数字も同じで、主張を支える1本だけ残すと強くなります。3つ並べると、どれを見ればいいのか読み手が迷うことも。落とした数字は、質問が出たときのために手元に持っておけば十分です。

優先順位は、渡した材料の中身からは読み取れません。 社内でどの論点が熱いか、前回の会議で何が保留になったか。AIに渡っていない情報から決まるので、この振り分けだけは自分でやることになります。

入力が効いているかは、同じ材料で2回試すと分かります

読み手と要点を書き足す効果は、説明より自分の目で見たほうが早いです。手順は単純で、同じ材料を2回渡します。1回目は材料だけ。2回目は、決めた一文を先頭に付ける。

出てきた2つを並べて、見出しの立て方と話の順番のどちらが変わったかを見てください。多くの場合、変わり方が大きいのは順番のほうです。1枚目に来るものが入れ替わっていれば、その一文は効いています。

比べる目的なら、テーマは1つに絞ってください。同じテーマで2回作れば、2つの資料が並んだ状態で差を見られます。

イルシルなら、一文を変えて出方を比べられます

イルシルは、日本語の資料作成に合わせて作られたスライド生成AIです。ホーム画面の「おまかせ生成」に、決めた一文と手元の材料をまとめて入れると、構成から本文、デザインまでが一度に出てきます。無料のフリープランでは資料を3個まで作れるので、上の2回ぶんは無料の範囲に収まります。

出てきた資料に主張がぼやけた1枚が混ざっていても、全体を作り直す必要はありません。スライドを編集する画面から、その1枚だけAIに作り直させられます。生成したあとに見る場所を3か所に絞る考え方は、AIでスライド作成はどこまで任せられる?人が確認することにまとめています。

ChatGPTやClaudeのような汎用のAIでも、入力を具体的にすれば出てくる資料は良くなります。分かれ目になるのは、その資料を社外に出すか、それに会社が認めたツールしか使えない環境かどうか。人に見せる資料では、日本のビジネス資料として見慣れた形で出てくるかも効いてきます。

次の資料は、1行目を書き足してから渡してみてください

入力を変えると出方が変わる、という感覚は、読むだけでは身につきません。次に作る資料で、材料を貼る前に1行だけ足してみてください。

「〔誰〕向けに、〔何〕の資料を〔何〕枚で。相手はすでに〔何〕を知っていて、〔何〕を気にしている。いちばん伝えたいのは〔何〕。読んだあとに〔何〕をしてほしい」

埋めるところが多く見えるので、よくある2つを埋めた形も置いておきます。

  • 社内の承認をもらう資料:「部長向けに、来期の採用計画を6枚で。相手はすでに増員の必要性を知っていて、気にしているのは人件費の増え方。いちばん伝えたいのは採用を前倒しする理由。読んだあとに予算枠を承認してほしい」

  • 社外へ出す提案資料:「取引先の情報システム担当向けに、勤怠システムの乗り換え提案を10枚で。相手は現行システムの不満を知っていて、気にしているのは移行の手間。いちばん伝えたいのは移行を2週間で終えられること。読んだあとに社内で比較検討してほしい」

近いものを選んで、固有名詞と枚数だけ差し替えれば、そのまま渡せます。

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